浮世絵木版画彫摺技術保存協会が鳥居清長春画復刻に挑む

2017.2.15

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浮世絵木版画の技の極み春画錦絵 傑作鳥居清長「袖の巻」が現代に蘇る

鳥居清長による春画「袖の巻」を復刻

竹笹堂が加盟する技術団体「浮世絵木版画彫摺技術保存協会」が、国際日本文化研究センター(日文研)と協力して伝統的な浮世絵木版画技術による春画の復刻に挑戦します。

「浮世絵木版画彫摺技術保存協会」は、文化財保護法で定められた文化財保存のための技術「選定保存技術」を保持する団体として、東京と京都、東西に拠点を設けて浮世絵木版画技術を継承保存を行っています。
文化継承活動として、浮世絵木版画の中でも最高峰の技術を要求される「春画」に着目し、春画研究の第一人者である日文研名誉教授の早川聞多先生のご協力のもと、浮世絵三大春画の一角、江戸時代中期の浮世絵師鳥居清長の最高傑作とも名高い春画集「袖の巻(色摺横柱絵十二枚組物)」を復刻するプロジェクトが始動しました。

日本の性風俗を描く春画は平安時代にはすでに存在しており、木版画の技術が向上した江戸時代中期、錦絵(多色摺り浮世絵木版画)の登場によって爆発的に普及しました。喜多川歌麿や葛飾北斎をはじめ、名だたる浮世絵師たちも春画を残しており、版元は競い合うように一般的な錦絵とは一線を画す鮮やかな色彩や、高度な彫摺技術を取り入れた春画を生み出しました。

本プロジェクトで竹笹堂主催の木版画教室で彫り部門の講師を務める、彫りの名門菊田流彫刻術の継承者彫師藤澤洋氏(写真)が彫りを担当し、彫刻術研究のため藤澤氏に入門している竹笹堂の若手彫師野嶋一生がその技術を学んでいます。

復刻される「袖の巻」は竹笹堂が図版協力を行った画集『別冊太陽錦絵春画』(平凡社・2015発行)に全作品が掲載されています。同画集は本プロジェクトにご尽力いただいている早川先生監修のもと、鳥居清長の他、錦絵の祖である鈴木春信をはじめ、磯田湖龍斎、勝川春潮、喜多川歌麿、葛飾北斎、渓斎英泉、歌川豊国、歌川国貞、歌川国芳が手がけた錦絵春画が数多く収録され、早川先生による作品解説とともに、春画の歴史や風土、芸術的評価について国内外の研究者が執筆した寄稿文が紹介されています。

春画は時代の流れとともに失われつつある文化を今に伝える貴重な存在です。竹笹堂は将来にわたる木版技術継承のため、春画を含む幻の技法解明に向けて本プロジェクトに賛同しています。

「袖の巻」収録『別冊太陽錦絵春画』紹介ページ


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