日本の木版印刷・木版画の歴史

1300年の歴史が息づく 日本の変遷とともに発展してきた木版印刷

ルパン三世浮世絵木版画

日本に木版印刷が伝来した飛鳥・奈良、平安から室町時代、そして江戸時代へと時代の中心地が場所を移すたびに形を変えながら、新たな時代の中に技術を磨いて発展を遂げ、日本中で独自の印刷文化が栄えました。

そして1300年の時を経て継承される様々な表現技法や制作方法をもとに、現代の職人やアーティストによって新たな作品が誕生しています。

創成期となる伝来から800年の間は、寺院の僧たちが修行や奉献のために仏教書や教典を自ら木版で作りはじめ、のちに貴族たちが信仰・祈祷のための書物や武士の兵法書など出版事業として木版印刷を生業とするものが生まれました。

江戸時代に迎えた大衆文化の開花とともに木版印刷の発展期が訪れました。伝統木版画という産業としてのスムーズな分業制作法が体系化したことで、専門性の高い職人たちが切磋琢磨し、技術と生産性が飛躍的に向上しました。そして世界的に人気の高い浮世絵木版画の完成や、一般生活における木版製品の導入によって木版印刷が世に広く浸透しました。

諸外国との交流によって日本が目覚ましい成長を遂げた近代。機械による大量印刷が日本の印刷市場を大きく変え、木版印刷の危機が訪れました。日本固有の伝統的な木版の製法を守ろうと出版業界や職人、作家達が力を合わせ芸術運動をおこして「創作版画」や「新版画」を生み出し、世界に誇る芸術作品として新たな展開を見せ、現在も人々に愛される描画法として作品は作り続けられています。

それぞれの時代を生きる人々の手から何千、何万という数の木版印刷・木版画が作り出され、さらに次の世代へと脈々と受け継がれていきます。

創成期から発展期を経て現代へ それぞれの転換期を時代背景をもとに紐解く

今にいたるまで木版印刷が辿ってきた歴史を、伝来から事業化までの黎明期、日本独自の技術へと花開いた発展期、世界に認められる伝統文化へ昇華した近代から今へ、各時代の背景や出版事情とともに詳しく紹介します。

伝来・創世から室町時代

日本に伝わった木版印刷が仏教の広がりとともに各地へと広がる

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江戸時代に訪れた発展期

大衆文化と技術革新によって絵から日用品まで幅広い展開をみせる

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近代から現在へ

芸術作品として世界に認められ現在も継承される日本の伝統へ

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