竹中健司 竹中木版五代目摺師 / 木版画作家 / 竹笹堂代表

伝統の木版印刷技術を継承し、木版の未来に新たな可能性を見出す

竹中健司 たけなかけんじ
竹中木版五代目摺師、木版画作家、竹笹堂代表取締役兼クリエイティブディレクター。
竹中健司は、竹中木版現当主竹中清八に幼少の頃から指導を受け、摺師として木版印刷の技術を習得。その技量を認められ5代目を襲名する。
木版印刷技術の振興・普及のため、「竹笹堂」を設立。全国で木版画教室を開催する他、アメリカ各地でのワークショップや、フランスなど世界各国での木版印刷の調査を行う。
また、京都木版画工芸組合副理事、京都版画出版協同組合理事に在籍し、文化庁選定浮世絵木版画彫摺技術保存協会で理事を務めた。
武蔵野美術大学造形研究センター「日本近世における文字印刷文化の総合的研究」プロジェクト(2014-2018)では技術顧問を務め、京都市立芸術大学(2012-2015)で教鞭をふるうなど、木版印刷の研究・保存・継承に尽力する。
平成11年に、木版印刷による商品開発・企画・各種プロモーションを行う「竹笹堂」を設立。代表取締役兼クリエイティブディレクターとして、現代アートシーンのクリエイターとのコラボレーション作品や、大手企業イベントのプロデュースを行うなど、活動の幅は多岐にわたる。
自身も木版画作家として数多くの作品を生み出し、色彩を巧みに操るその作風は海外からの高い評価を受け、ボストン美術館やホノルル美術館に作品を所蔵される数少ない現代木版画作家の1人である。
木版印刷職人 竹中木版5代目摺師 竹中健司
1200年の歴史続く職人の世界で技術を継承する
竹中木版現当主竹中清八と共に、京都の老舗木版木版印刷工房の摺師として、伝統木版画の技術を現在に伝える。
世界最古の印刷技術である木版印刷は、伝統工芸という枠から、ひとつの産業として多くの職人の手仕事によって育まれてきた。
竹中健司はその担い手として木版摺りの腕を磨き、今では再現が難しいとされる技法や古版木・古版画を研究し、現代のものづくりに活かしてきた。
そして、木版印刷の発展・普及に後継者の育成や、一般を対象にした教室を開催するなど、将来に渡る技術の継承活動も行う。
2009年にはフランス国立図書館を訪問し、同館で所蔵される江戸期に制作された貴重な浮世絵木版画の版木を調査。著名な浮世絵師の筆によるものと推測される版木を発見し、後に始動する研究事業の大きなテーマの一つとなった。
2014年から、歴史ある日本木版画の失われてしまった技術を発掘し、復活させるためのプロジェクトチームを結成。2015年には立命館大学の客員研究員として大学と連携して調査を開始。同年再びフランスを訪れ、パリ市と京都市の協力のもと、2009年に発見した古版木の摺りが可能となった。
葛飾北斎が描く「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を摺る
二人で木版画を摺る「引っ張り合い」
フランス・パリで行われた「日本の赤」をテーマにした展覧会にて、原田裕子とともに浮世絵木版画の摺りを実演した。
葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を、二人一組で一版ごと交互に摺り合う「引っ張り合い」で作り上げる。
テンポよく進む摺りは、力強くはっきりとした線や、グラデーションを効かせた背景、深く均一な青が広がる波などを、様々な技法を凝らして浮かび上がらせ、一色ごとに表情を変える様に観客は大きな歓声を上げた。
摺師竹中健司の木版印刷制作例

広重画「嵐山満花」
日本の風景浮世絵の巨匠広重の「青」で、嵐山を流れる川を描く。グラデーションを効かせ、薄紅桜との対比が美しい。

カンバラクニエ作品
浮世絵を現代のアーティストが描く。イラストレーターカンバラクニエ氏の「いまうきよえ」でグラフィックを木版画に。

屋内用照明「木版行灯」
空間に灯りをともす京銘竹で作られた竹細工の行灯に、特殊紙を使った手摺り木版を施すことで、光に温かみをプラスする。
木版画作家・クリエイティブディレクター 木版師 竹中健司

見えたものを削ぎ落とし絶妙なバランスを生み出す。
「ふと見上げた時に空がキレイだったから。だからいろんな空を描きたくなった。」
竹中のインスピレーションは彼の瞳の中に映るもの、漂う香り、流れくるサウンド、体で受けるその全てから湧き立ってくる。子どものように強い好奇心が美しいもの面白いものを引き寄せ、彼の直感を刺激して作品やアイデアを具現化させる。
彼の創作の軸は「遊び」にある。限界を感じさせない自由な発想と、未知の可能性を予感させる不思議な魅力をもって、何事も楽しむことでものづくりを行う。
木版画という枠を超えるのではなく、その枠そのものを広げて、伝統工芸や最先端技術、メディア、学術的分野など、様々な分野をフィールドに取り込み、「ただ面白いことをしたい」という純粋さで創作を続ける。
竹中健司制作・活動実績
- 木版画作品
- lapis lazuli / 嵐山桜 / aosanjyo / moon and pond lily / 北野白梅
- 作品展
- 個展「竹中名作劇場」/ 個展「SORA」/ 個展「びーだん」
- 木版印刷
- カンバラクニエ「いまうきよえ」/ 歌川広重「京都名所之内嵐山満花」
- デザイン提供
- 第一紙行「京の木版画カレンダー」/ 山本仁商店「ガーゼハンカチ」
- 執筆
- 著書「はじめての木版画」/ 連載「月刊茶の間(2009・2010)」
論文 国際浮世絵学会「木版における合羽摺り技法」/ 寄稿 同左「浮世絵芸術152号」
寄稿 大津市歴史博物館「道楽絵はがき」 - 実演・講演
- 立命館大学 / 同志社大学 / 京都ホテルオークラ / アップル社 / ボストン大学 / 他多数
竹中健司略歴
- 平成3年
- 竹中木版四代目竹中清八に師事し、木版印刷の職人として活動を開始
- 平成11年
- 木版印刷による商品企画・制作やプロモーションを行う「竹笹堂」を設立
- 平成13年
- 「国際木版画会議 Impact in フィンランド」で日本の木版画材を紹介
- 平成14年
- 「世界水フォーラム」で作品を出品、ワークショップを開催
- 同年
- ジュディ・オング氏と「京都伝統産業の日」木版画ポスターの企画・制作に携わる
- 平成15年
- 「京都伝統産業の日」木版画ポスターのデザイン・制作を行う
- 平成17年
- 「有限会社竹笹堂」代表取締役社長に就任
- 平成18年
- アメリカ・ボストン大学、エディンボロ大学の要請を受け、木版画ワークショップ・講演を行う
- 同年
- 木版画作品「RIVER四条」がボストン美術館に所蔵される
- 同年
- 国際浮世絵学会会報誌「浮世絵芸術152号」に論文「木版における合羽摺り技法」寄稿
- 平成19年
- 京都府「源氏物語千年紀事業」オープニングイベントにて巨大木版パフォーマンスを披露
- 平成21年
- 「月刊茶の間」でコラムを連載、作品を連続発表(〜平成22年、2年間)
- 同年
- 同志社ビジネススクール主催「京都の赤展 Paris」で浮世絵の実演摺り披露
- 平成22年
- 竹中健司×吉原孝洋、木版画と飴細工展「対極~第一局~」開催
- 同年
- 個展 木版画作品展「竹中名作劇場」開催
- 同年
- 京都市立芸術大学で木版画の非常勤講師に任じられ教鞭をふるう
- 平成23年
- 個展 木版画作品展「SORA」開催
- 同年
- 著書「京都竹笹堂 はじめての木版画 かわいい雑貨を作る本」発表
- 平成24年
- 原田裕子とともに国際木版画会議で京版画制作を実演
- 同年
- 個展 木版画作品展「びーだん」開催