作品企画 内田喜基氏木版画ポスター「Create.」
竹笹堂の2013年を象徴するポスター作り
木版印刷技術は主に経典などの普及のために活用され、その後、江戸時代になると、それまで単色だった木版画は色鮮やかな浮世絵へと発展し、多種多様な意匠の印刷文化が栄えました。そして「引札」と呼ばれる広告印刷が登場し、庶民の生活の中にも木版が浸透することとなりました。
機械印刷が主流となる現在。木版の持つ暖かみある仕上がりをデザインの一つと捉え、木版でしかできない表現でポスター作りに挑みました。
人の手で作られる木版画は、手が届く幅が基本ですが、それを大きく超えるB1サイズ（約728×1030mm）で、「Create.」をテーマに２作品制作という、木版画の可能性を広げる挑戦となりました。
（← 「Create.」1対2枚のうち Create. A）
木版印刷に欠かせない意匠を生み出す「絵師」に、広告やパッケージデザインなどクリエイティブシーンで活躍される内田喜基氏を迎えました。
大胆な構図を繊細に描き上げる内田氏のデザインは、木版印刷技術の特徴を巧みに活かし、シンプルながらエッジの効いた原画をご提案頂きました。
内田氏のデザインを元に彫り起こされた版木を、竹中木版五代目竹中健司と六代目原田裕子の共同作業により一枚の作品として摺り上げ、現代アートと伝統技術のコラボレーション作品が生まれました。
Create. B
「Create. A」と1対で作られ、無限を表現する様々な記号が描かれる。
巨大版木を摺る
通常のサイズを大きく超える版木を、呼吸を合わせて二人がかりで摺りあげる。
内田喜基氏を迎えて
クリエイティブシーンの第一線で活躍する内田喜基氏を絵師に迎える。
伝統木版画が世界的広告賞を受賞
One Show bronze pencil
ニューヨークで開催される国際的デザイン賞「One Show」で銅賞相当のbronze pencilを受賞しました。
D&AD In Book
イギリスで開催される世界三大広告賞の一つ「D&AD」で銅賞相当のIn Bookを受賞しました。
世界的なデザイン賞の一つ「D&AD AWARD」（英）で「IN BOOK」（銅賞）、そして世界三大広告賞の一つ、「ONE SHOW DESIGN」でも「BRONZE PENCIL」（銅賞）をそれぞれ受賞いたしました。
日本における伝統木版画技法を用いた作品の受賞は明治以来となる、大変光栄な名誉にあずかりました。今回デザイン提案いただいた内田喜基氏、並びにご支援いただいた皆様に感謝と御礼を述べると共に、今後も木版画印刷技術の発展と、その流布に尽力するようスタッフ一同邁進して参ります。
ありがとうございました。
新たな作品作りへ
今回のポスター制作を通して、新たな可能性を見出した木版印刷。さらにそこへ内田氏が手がけたグラフィックアート本「Kanamono Art」を原画とした木版画を制作します。
動物や昆虫をモチーフに、その体を構成するパーツを極小の「金物 -Kanamono-」で描き、有機物と無機物の不可思議な組み合わせをお楽しみいただけます。
デザインを浮き上がらせる細い輪郭線は、髪の毛ほどの細かさを掘り、そしてその細い線を潰さないよう摺らなければならないという、木版の高等技術の粋を必要としました。
繊細な技術が生み出す、モチーフの大胆な躍動感あふれる作品がここに！
制作概要
- 制作品
- 木版画ポスター「Create.」
- 作者
- 内田喜基（デザイン）/ 竹笹堂（木版画）
- 販売価格
- 各280,000円（税抜き）
- サイズ
- タテ約100cm×ヨコ約70cm
- 仕様
- 岩野平三郎作「越前奉書紙」使用 / 各25枚限定
- 技法
- 手摺り木版画
- 制作期間
- およそ4ヶ月（企画・デザイン・木版画制作）
絵師紹介 内田喜基
概略
1974年静岡生まれ。 博報堂クリエイティブ・ヴォックスに3年間フリーとして在籍後、
2004年「株式会社 cosmos」を設立する。
広告クリエイティブのデザインにとどまらず、 商品デザインやアート本「Kanamono Art」（誠文堂新光社）の出版や、音楽ディスクガイド「RARE GROOVE A to Z」を 「RARE33inc.」の一員として企画出版するなど、その活動は多岐にわたっている。
主な受賞歴
D&AD（英）銀賞、One Show Design(米) Merit賞、NYADC Merit賞、
ショーモン・ポスター・グラフィックデザイン・フェスティバル（仏）入賞、
ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ 入選など。
