調査プロジェクト「世界に眠る日本の木版画版木を発掘する旅」

日本の木版画版木を探し出す

貴重な日本の木版画の版木を発掘し、失われた技術を復興する

日本に木版画が広まって1300年。書物や経典を作るため文字印刷から始まり、そのなかから挿絵や仏を描く絵画描写が生まれました。そして日本独自の多彩な色表現で発展を遂げ、木版印刷は歴史の中のあらゆるシーンでその存在を大きくしていきました。その中でも浮世絵木版画は日本のみならず世界へ渡り、北斎や歌麿、写楽など多くの作品が高い評価を得ています。

当時競って作られてきた浮世絵木版画は数多く残されていますが、版木に至ってはその姿を残すものは非常に希少であり、貴重な歴史的遺産となっています。
竹笹堂では木版印刷技術の復古、そして未来への継承のため、世界中を研究フィールドに幻となった木版画を発掘・研究するプロジェクトを立ち上げました。

世界に広まった木版画を探す

日本独特の表現技法を確立し、多彩色と巧妙なデザイン構成を用いた水性多色摺り木版画「浮世絵木版画」は世界の文化人や芸術家に驚きと影響を与えました。明治以降、版画とともに版木も海外へと流出し、行方知れずとなっています。

今もどこかで静かに眠り続ける版木を求めて職人自ら足を運び、現地の美術館や博物館、大学などの研究機関とともに検証して失われた技術を現代に蘇らせます。

各大陸の主要都市を中心に、資料調査や市場に埋もれた作品を探索し、実際に摺りを施すなど職人視点で世紀の発見に繋がるカギを拾い集め、日本文化の財産になるであろう当時の木版画作品、版木への閉ざされた扉を開けます。

産学連携によりプロジェクトチームを結成 研究活動を本格始動

歴史的にも貴重な資料である過去の木版画・版木を調査するにあたり、重要となるのは非破壊的な調査方法の確立です。制作当時の状態を守りつつ摺りや検査を行うためには、使用されている絵具や道具などの特定が必要となります。
新たな技術開発を目的に、竹笹堂は立命館大学を中心に各分野の研究者たちとプロジェクトチームを結成しました。
科学的なアプローチも含め、損傷を伴わない方法で、木版画に用いられている要素の判別を可能とする画期的な検証法の研究を進めています。 産学連携による浮世絵技法の復元的研究のための技術開発

第一弾 フランスで北斎、歌麿などの幻の浮世絵木版画版木を調査

最初の探索地として向かったのはフランス。芸術の都パリから世界中へファッション・音楽・アートを発信するこの国で、マネやドビュッシーなど、19世紀の西洋の芸術家たちは浮世絵を自身の作品へ取り入れ、新しい創作活動へと昇華させました。
2009年、5代目摺師の竹中健司は、フランス国立図書館(BnF)へ訪れ、保管されている資料を調査中、複数の浮世絵木版画の版木を発見しました。その表面に彫り込まれた図案の構図や版木の材質・経年状況などから、江戸の人気浮世絵師「喜多川歌麿」「葛飾北斎」作の絵によって起こされたとものと推測されました。

木版画版木探査

フランスで版木を検証

保管されていた複数の版木を一枚ずつ確認し、作風から作者や年代を検証する。

木版画版木探査

高度な彫りが美しい版木

0.1mmの世界で精密な彫りを施された版木は、彫師の技術の高さを物語っている。

木版画版木探査で研究員と意見交換

現地研究員との意見交換

職人と研究者それぞれの見地から多角的に意見を交わし、世紀の発見に繋げる。

フランス再訪 貴重な所蔵版木が時を超えて浮世絵木版画として復活

世界に広まった木版画を探す

帰国後から研究チームの設立や古版木摺刷技術の研究など調査体制を整え、パリ市と京都市の協力のもと、BnFから調査許可を得た2015年に竹中は再びパリへ赴きました。
BnFに保管されている貴重な版木の中から、提供された美人画の主版(輪郭線を彫刻した版木)一枚を使って現地の研究者たちを前に摺りを行いました。

竹中は版木の状態を考慮して制作当時に近い画材や伝統的な木版印刷技法を用い、版木に刻まれた女性を時を越えて浮世絵木版画へ蘇えらせました。

摺り上がった作品と版木の一部を日本に持ち帰り、プロジェクトチームとともに調査した結果、歌麿の画風に沿った作品であり、当時世界最高峰であった日本木版画の技術によって作られた版木であることが判明しました。
また、同時期に作られた美人画を検証し、作られていたであろう複数の色版を再現した浮世絵木版画らしい多色摺りの作品も完成しました。

制作された色版、浮世絵木版画はBnFへ寄贈され、新たな文化交流にもつながった有意義な調査は成功を収めました。

木版画版木探査

BnF所蔵版木

文化年間に制作されたと伝わる版木

木版画版木探査

復刻浮世絵木版画

輪郭線となる骨線を薄墨で摺りあげた

木版画版木探査で研究員と意見交換

多色摺り(錦絵)を制作

当時を再現して色版を独自に制作

100年を越えた日本文化の復興にドキュメントが密着 世界で放映予定

フランスで敢行された木版画発掘調査研究の旅を関西テレビが密着し、12月に1時間のドキュメンタリー特集番組として放送されます。そして来年には、世界でも放送される予定です。
日本を離れ、フランスで守り続けられたジャポニズムを、現代に蘇らせる世紀の一瞬に乞うご期待下さい。

序章となった映像を公開(2015年9月30日関西テレビ「ワンダー」内で放送)

  • 番組名:「ザ・ドキュメント 京の摺師 -フランスに渡った浮世絵-」
  • 放送局:関西テレビ ※関西テレビ受信地域のみ視聴可(今後国内外で放送予定)
  • 日時:2015年12月12日(土)深夜25:35〜26:30
  • 番組紹介ページ

調査概要

プロジェクト名
世界に眠る日本の木版画版木を発掘する旅 フランス編(仮)
調査地域
フランス パリ フランス国立図書館
Bibliothèque nationale de France(BnF)
調査期間
2009年6月〜2015年11月
協力
フランス国立図書館 / パリ市 / 京都市 / フランス商工会議所 / 関西テレビ / 立命館大学 / 浮世絵技法復元的研究プロジェクトチーム


ページ
上部へ