古版木摺り・復刻 三佛寺奥院 国宝「投入堂」木版画復刻

国宝投入堂遠景木版画復刻

険しい山々に点在するお堂を描いた木版画 国宝投入堂の不思議に触れる

国宝 投入堂木版画

天台宗寺院三徳山三佛寺国宝「投入堂」を描いた、明治時代製木版画版木の復刻摺りと、当時を再現する色版の復刻制作をご依頼いただきました。

明治20年代に、三徳山を見渡す雄大な景色を描いた多色摺り木版画が摺られてから時が経ち、2017年、輪郭線を描く主版と、薄墨の版が裏表に彫られた1枚の版木が発見されました。通常の木版画よりも倍ほど大きく、版木全体に日本海を臨む山景が広がります。

国宝 投入堂木版画

現存する版木を使って墨摺りの木版画を復刻し、その画像は投入堂を長年研究されてきた生田昭夫氏による著書本『国宝三佛寺奥院 投入堂 解けた謎。深まる謎。』の巻末に掲載されました。
同書には、建築の専門家として生田氏の40年に渡る投入堂研究の成果である建築的解明のほか、三徳山の歴史や諸記録などが約170ページに渡って解説されており、投入堂の貴重な過去の写真や内部写真なども収録されています。

断崖絶壁に佇む投入堂を中心に広がる三徳山 木版画で描く修験道と歴史的建築

作品中央には三徳山が据えられ、山中には投入堂や木々の合間から顔を覗かせる三佛寺の建造物、そして奥には海に浮かぶ帆船が描かれています。険しい山道の当時の姿を今に伝える貴重な木版画が、竹笹堂の職人の手によって蘇りました。

国宝投入堂木版画

修復によって浮かび上がる線

経年によって表面に蓄積したつまりなどを除去・洗浄し、摺りに適した状態に復元する。

国宝投入堂木版画

山の険しさを表す筆を再現

力強い線の一本一本が三徳山の険しさを、重なる薄墨で山に広がる木陰を、濃淡で表す摺りの妙。

国宝投入堂木版画

現存する多色摺り木版画をもとに色版を復刻

①全体図。三佛寺が位置する三朝町が保管する同作品を元に色版(濃墨、水色、桃色、黄土、緑)を作成。
②切り立った崖に建てられた投入堂。露出した支柱が傾斜を物語る。 ③麓に広がる参道と満開の山桜

復刻概要

作品名
木版画「三徳山全景と社寺群」
所有者
個人所有
作者
不明
仕様
古版木摺り:明治20年代製版木(裏表2版) / 洗浄 / 墨摺り / 山桜材
復刻版木制作:5版(濃墨、水色、桃色、黄土、緑) / 木材
サイズ
タテ約50cm×ヨコ約70cm×厚さ約3cm
制作期間
約4ヶ月

三徳山三佛寺

慶雲三年(706年)に現在の鳥取県東伯郡三朝町に開山した天台宗寺院。平安時代に行者の神通力で断崖絶壁に投げ入れられたという伝説を持つ、国宝に指定されている投入堂(蔵王殿)をはじめ、納経堂や文殊堂などの重要文化財や鐘楼、観音堂などの建造物が山の傾斜を利用して建てられている。
三徳山三佛寺 webサイト


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