古版画修復 某寺院様「千手観音菩薩像 古版木修復」

京都手帖

時を超えて蘇る貴重な古版木

古版木修復例「千手観音像」

某寺院様より、所蔵される「千手観音菩薩像」の版木の修復についてご依頼をいただききました。

この版木は、江戸末期頃に寺院を護持する檀家衆へご本尊の写し絵版画として作られ、近年まで使い続けてこらたものです。
しかし長年の使用によって、摩耗や墨の固着、その他様々な要因による侵食を重ね、使用に耐えない状態でした。

版木を弊社へお持込みいただき、状態の確認と今後の対応を検討し、修復に着手しました。
多くの細かいパーツで描かれる「千手観音像」は、特に彫りが繊細で、修復には慎重な作業が必要したが、独自の修復技術によって当時の面影が蘇りました。

古版木修復の過程

古版木修復着手段階

1.劣化版木の調査摺り

長年の使用によって摩耗した版木に墨が固着し、細かい部分が潰れてしまっている。
痛み具合を考慮しながら2週間ほどかけて版木の調査確認作業を行う。

古版木修復途中

2.汚れ除去進行途中

版木を痛めないように墨や汚れを丁寧に時間をかけて落とし、修復度合いを確認。
表面の汚れや内部に染み込んだ墨などの除去に、洗浄と沈静を繰り返し4ヶ月経過。

古版木修復修理完成

3.版木修復完了

版木を元の状態に戻し、枠となる「骨(コツ)」を彫り整えて摺り。優しい表情が浮かんだ。
細かな修繕を加え1ヶ月半ほどの調整の後、最終的な摺りの確認作業で仕上げる。

修復作業の風景

骨を浮かび上がらせる彫り

摺りによって摩耗してしまった版木の表面に、削り過ぎないように最新の注意を払いながら彫りを施し、もとのコツを再現する。

仕上がりを確認する摺り

修復の都度試し摺りを行い、進行度を確かめて進める。粒子の細かい墨摺りだからこそ細部まで版木の彫りを浮き立たせる。

修復概要

内容
寺院所蔵版木「千手観音像」修復
作者
不明
制作時期
江戸時代末期〜明治時代初期
サイズ
タテ27cm×ヨコ18cm
作業内容
山桜板単色墨摺1版: 洗浄・固着融解 / 骨線直し / 本摺り
修復期間
およそ7ヶ月(調査・修復・手摺り)


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