受注制作 日本テレビさま「洛中洛外図風京扇子」
アーティストによる手描き作品を木版画に
東京国立博物館で開催される日本テレビさま開局60周年特別展「京都 -洛中洛外図と障壁画の美-」に向けてオリジナル商品の制作をご依頼いただきました。
この展覧会のメインとして注目されるのは、浮世絵の発祥とされる岩佐又兵衛が描いた二対一双六曲の洛中洛外図(舟木本)。京都の様々な名所や当時の人々の暮らしを細かに描写し、今では知ることのできない400年前の京都が眼前に広がります。
今回のご依頼では、洛中洛外図をテーマにした木版画作品の企画制作として、メインの展示品となった舟木本で多くの人びとが扇子を手にしている場面が随所に描かれていることから、原田裕子がデザインする「京扇子」を制作いたしました。
扇面に描かれる木版画は、洛中洛外図の特徴でもある「源氏雲」の金色に彩られ、その雲間から覗く桜と楓を、貝殻から作られる白い顔料「胡粉(ごふん)」で和紙にぽってりと立体的に摺りあげる京版画の技法を用いた作品となりました。そしてその扇面は、京の伝統工芸の職人の手によって20を超える工程を経て「京扇子」に仕上がりました。
京扇子「嵐山楓」
秋の嵐山、緑深い山々に鮮やかさをもたらす楓の葉と、その色合いを表現。
京扇子「鴨川桜」
鴨川の悠久の流れに佇む華やかな桜が、金雲の合間から顔をのぞかせる。
手に馴染む京扇子
一本の竹を割いて骨を作り、多いもので80もの工程を経て作られる京扇子
制作概要
- 制作品
- 京扇子「嵐山楓」「鴨川桜」
- 作者
- 木版師 原田裕子(木版画)
- 小売価格
- 各6,000円(税抜き)
- サイズ
- 幅約38cm×高さ約21cm
- 素材
- 和紙・竹
- 技法
- 手摺り木版・京版画・京扇子
- 依頼主
- 日本テレビ放送網株式会社
- 制作期間
- およそ3ヶ月(企画・木版画制作・京扇子仕立て)
東京国立博物館 特別展「京都 -洛中洛外図と障壁画の美-」開催概要
国宝、重要文化財に指定される、京都の市中市外を豪華絢爛に描いた「洛中洛外図」が一堂に会し、その他二条城の障壁画など、京都でもめったに見ることができない数々の美術品を展示。
会期:2013年10月8日(火)~12月1日(日)
会場:東京国立博物館 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
日本テレビ放送網株式会社
昭和25年創立。日本初のテレビ放送局として開業し、テレビ放送における企画・製作、また自社・外部との連携による放送技術開発を行う。関東圏を中心に全国区での放送網を持ち、海外放送局との協定によって世界でも配信されている。
作家紹介:木版師 原田裕子
原田裕子は、木版手摺匠「竹中木版」の五代目竹中健司に師事し、現当主竹中清八からも技術の手ほどきを受け、六代目を継承。
幼少の頃より木版画の才能を認められていた原田裕子は、活動拠点を鹿児島から京都に移し、平成14年大学在学中に竹中木版に弟子入り、職人の技を研鑽し習得していく。大学卒業後、竹笹堂で本格的に職人の技術を練磨し、数々の仕事に携わる。
習得した技術と師匠である竹中健司とともに、日本・世界へとワークショップ・デモンストレーション・レクチャーを実施し、木版技術の流布に努める。
多彩な才能と、職人の技術を持って、木版画作家としても開花し、竹笹堂木版アートステーショナリーの作品を制作。各メディアから大きく取り上げられ、木版の新しい分野を開拓している。またその制作風景の美しさから、数々のメディア媒体でも報じられている。